人間は思い悩んでいるうちに、うつ状態や自律神経失調症などの心身の不調から抜け出せなくなることがありますね。でも、そんなときにはネガティブな状態に偏っているので、人間本来の中道に戻していけば大丈夫なんです。
心身に不調が現れるまで自分を追い込んでしまう原因を知ると、深みにハマらなくなってくるはずです。
そもそも、人間は、なぜ思い悩んでしまうのでしょうか？
人間には煩悩があるから、思い悩むんです。
思い悩んで心身が病んでいるときは、自分で毒を作って、その毒にあたっている自家中毒のような状態です。
どういうことかと言うと、
自分の煩悩によって生まれた「自分の思い通りにならない」という苦しみをなくそうとして、「なくせない～！」と思い悩んで、また更なる苦しみを生んで、またその苦しみをなくそうとして……
と煩悩の中で、ぐるぐると、もがいて苦しくなっているんです。。。
じゃあ一体どうしたらいいのー！？
このような苦しみから抜け出すには、まずは
「自分の煩悩が生んだ苦しみによって、自分は今、苦しくなっているんだな！」
と気づけばいいんです。
自分の煩悩が、今まさに作っている苦しみを観察するんです。
え？ 誰が観察するの？
もう一人の自分が、です。
もう一人の自分が思考や感情を観察していると、苦しみの渦に巻き込まれなくなってきます。
たとえば、こんなふうに自分が思考や感情の渦に巻き込まれそうになったときに、思考や感情を観察するんです。
「あ！ 今、自分はなんてダメな人間なんだ…って、自分を責めていたな…」
「あ！ 今、あの人がわたしを大事にしないせいで、わたしはこんなに辛い目にあっているんだ…って、相手を責めていたな…」
「あ！ 今、どうせ自分なんか何をやっても上手くいくわけない…って悲観的になって、自己否定して、無力感に襲われていたな…」
「あ！ 今、未来に嫌なことが起きることを妄想して、心配して、不安になっていたな…」
こんなふうに、もう一人の自分が自分の思考を観察できると、自分をストレス状態に追い込み続けることがなくなってきます。
過去に執着したり、未来を案じたりする思考（煩悩）にとらわれなくなってくるからです。
そして、思考でジャッジする前の「今この瞬間のあるがまま」（本来の面目）に気づいて、気持ちを切り替えられるようになるので、心も身体もさわやかでいられます。
もう一人の自分とは、一体だれなのか？
わたしの服
わたしの身体
わたしの思考
わたしの感情
わたしの苦しみ
わたしの……と観察していくと
観察している観察者がいることに気づきます。
もう一人の自分とは、この観察者であり、自分の本質であり、ほんとうの自分です。
ということは、思考や感情という心、身体が、イコール自分というわけではなく……
心や身体というのは、すべてを観察している観察者がこの世で生きている間に使っている道具のようなものなんです。
この観察者は、スピリット、魂、真我などの言葉に置き換えることができます。
よくよく観てみると、
「自分は、なんて欲にまみれた人間なんだ」
って、自分の煩悩（エゴ）に気づけるということは……
自分の本質は、煩悩（エゴ）ではないってことです。
だって、自分の不完全なところに気づけるのは、もともと完全をしっているからにほかなりません。
もともと完全な魂が、「煩悩のある人間という不完全」を体験しているんですね。
だから、煩悩即菩提と言いまして、菩提（悟り）も煩悩（迷い）も、完全なる魂の現れだし、宇宙の万物の一部であり、一如（万物は本質的に一）であり、真如（すべてがあるがまま）です。煩悩は人間のあるがままの働きであり、煩悩があるからこそ悟りもあるということになります。
もしも、今この瞬間の、すべてのあるがままを受け入れて、あるがままの感情をしっかり感じて、主体的に生きていたら、ネガティブにもポジティブにも偏らずに、中道を歩んでいけます。
この歩みのなかでは、苦しみさえも、魂にとっては唯一無二のかけがえのない体験です。ネガティブな体験も、ポジティブな体験も、人間が人生を生きているからこそできるんです。すべての体験が、魂の向上につながっています。
魂も、身体も、心も、すべてを
宇宙の大いなる愛の流れにゆだねて
「あぁ、自分は今、思い悩んでいるなぁ～
あぁ、苦しいなぁ～」
とありのままに感じるんです。
抵抗せずに……
「思い悩んでいる自分なんて、ダメだ！」
「早くこの苦しみを消さなければならない！」
とあるがままの心に抵抗することが、苦しみを生み出します。
すべての苦しみは、自分のエゴ（煩悩）が作り出して、味わっているものなので、つかまえないで、放っていけば……
あなたは思い悩む苦しみに
もう、ハマれなくなります。
うつ状態や精神不安定に
ハマらなくなる智慧
